ブランド豚について
目次
サイボクは、日本人の味覚に合った世界一美味しい豚肉の追及に70余年の歳月をかけています。
現在は、ブランド豚ゴールデンポーク(GP)・スーパーゴールデンポーク(SGP)や、その豚肉を原料とするハム・ソーセージ類が、日本だけでなく世界でも認められるものとなりました。
ブランド豚ゴールデンポーク(GP)について
ゴールデンポーク(GP)は、サイボクで改良した血統の豚を組み合わせました。
お肉の特徴は、きめ細かな肉質で霜降りがあり、やわらかく、味にコクが感じられます。脂肪は白く、お肉にうまみがあります。焼いても縮みが少なく、ジューシーな肉質です。力強い美味しさは、「焼肉」「とんかつ」などにピッタリです。
ブランド豚スーパーゴールデンポーク(SGP)について
スーパーゴールデンポーク(SGP)は、祖父にバークシャー種を入れて組み合わせました。
お肉の特徴は、GPに比べていっそうきめが細かく、霜降りのある肉質はやわらかく、味にコクが感じられます。
脂肪は真白で、あっさりとした口当たりです。肉をよくかんで飲み込むと、のどの奥から舞い上がるような美味しさが感じられます。上品な美味しさは、「とんかつ」や肉そのものを味わう「しゃぶしゃぶ」などにピッタリです。
ブランド豚ゴールデンポークの原種豚について
ゴールデンポークとスーパーゴールデンポークの家系図に出てくる、4種類の原種豚についてご紹介します。
原種豚 大ヨークシャー種(W)イギリス原産
足腰が強く、おとなしい性質で、子育てがうまい。お肉はジューシーで、きめが細かい。映画「ベイブ」の主人公となった品種。
▽ちょっと専門的に----------
英国系のフィールドマーシャルとキングダビットの2系統から成り立っています。体型はやや小型で肉のキメと脂肪の質に優れています。体脂肪も適度にあり、特に皮膚、被毛が柔らかいためストレスにも強く、足腰も丈夫でゆったりとしたタイプの種豚です。
また、生時体重は1.0~1.2kgと小さいが産子数は多く、母性愛の強さから子育ては上手です。そのためF1種豚を生産するための基礎豚として重要な役目をしています。また、フィールドマーシャル系は肉質の良さからバークシャーとのニッキング(相性)も良く、今後美味しい豚肉を生産するためにも必要不可欠な系統です。
原種豚 ランドレース種(L)デンマーク原産
繁殖能力が特に高く、産子数・泌乳量共に多い。生まれる子豚の活力(元気さ)も強い。長いロース肉と厚みのあるバラ肉をつくる。
▽ちょっと専門的に----------
オランダ系のジョープ、カレルの系統を維持しています。体型は、サイボクならではの独自のランドレースといわれるほど特徴があります。体はやや短く、頭部が大きく、耳はうすく大きく垂れています。被毛は種豚では、軽くウェーブがかかり、巻き毛の状態となります。このような雄豚は活力も強く遺伝力も強い物を持っています。
また、足蹄に関しては蹄が大きく、先端は丸く大きく開いて厚みのある蹄で弾力があります。足は短く、そのため重心が低くなり、どっしりとしたタイプでいままでのランドレース=足腰が弱いといったイメージを全く感じさせない強健なタイプの種豚です。このような種豚はどのような環境にも順応し、強健性を次世代に遺伝させることができます。
原種豚 バークシャー種(B)イギリス原産
体色は黒で、一部が白、一般に「黒豚」と呼ばれている品種。肉質は、筋繊維が細かく柔らかい。脂肪の質も優れているため、高く評価されている。
▽ちょっと専門的に----------
1950年代までは中ヨークシャー種と共に、一般に見られる品種でしたが、1960年代から大型種(ランドレース)の登場により、徐々に減少し、現在の一大産地である鹿児島においても、1970年には、肉豚出荷頭数の17%まで落ち込んでしまいました。
しかし、その肉質のよさが注目され、産直などによりその生産は支えられて、グルメブームを機に一躍脚光を浴びるにいたったのです。
需要が増大し、取引価格が高くなると、多くの養豚家がバークシャー種を飼うようになり、品種改良も進み、豚の体型も徐々に変わってきました。ニセ黒豚の大量出現などもあり、「昔のバークシャー」を要望する声も大きくなっています。その中で注目されているのが、「鼻ぺしゃバークシャー」です。
昔からのバークシャーの産地は、鹿児島と並んで、埼玉の入間地域(入間黒豚)だったのです。
サイボクも勿論バークシャーを飼っていましたが、時代の流れの中でその種は絶えてしまいました。1988年新たにバークシャーを導入しようとしたとき、昔の「鼻ぺしゃバークシャー」が絶滅しそうなことに気づき、急きょ鹿児島から、50頭弱の「鼻ぺしゃバークシャー」を導入し、現在まで育種改良を続けています。
では「鼻ぺしゃバークシャー」とはどんな豚でしょうか?
1.でかい顔
鼻は短く上に大きくしゃくれています。特に下顎のほうが上顎より長く、頭骨は短いです。なにより下顎の幅があり、その強健性を裏付けています。
2.胴長短足
胴は長く、四肢は短いです。体質の柔らかさが特徴です。
3.骨
管囲(人間で言う足首の辺り)は細く、骨の細さを表しています。
4.肉質
バークシャーの特徴は何といってもその肉質です。一般に脂肪の質は飼料の影響が大きいと言われますが、それ以上に品種の特徴としての「脂肪の風味」がバークシャーにはあります。そして、細い筋繊維です。肉のキメが細かく、しゃぶしゃぶで食べたときには、バツグンの柔らかさとして感じることでしょう。
現在のバークシャー事情
バークシャー種はその良質な肉質から絶滅の危機から脱して、「黒豚」を支える人達の努力によって今日があります。
しかし、残念ながら偽物の登場や生産性(産子数・発育・歩留(ぶどまり)など)を追求した改良によって、本来の肉質を損なっている「黒豚肉」も見受けられます。
また一方で、「トウキョウX」にみられるように、バークシャーと他品種を組み合わせて、バークシャー以上の肉を作る品種改良も行われています。
スーパーゴールデンポーク登場
サイボクでは本来のバークシャー「鼻ぺしゃバークシャー」を十年以上の品種改良を行う一方で、バークシャーの肉の旨味を最大限に生かせる新品種「スーパーゴールデンポーク」も並行して研究開発してきました。
おいしいお肉を安心して安定供給できる次世代の新品種だと思っています。
原種豚 デュロック種(D)
大型で体の色は茶色系、垂れ耳。サイボクのGP・SGPの父親豚。大きなロースと光沢のあるピンクの肉色。いわゆる「サシ」の入ったお肉をつくる。
▽ちょっと専門的に----------
現在日本では、3元交雑種の止め雄に最も多くこのデュロック種が用いられています。止め雄とは豚の繁殖性(生産面)には影響を及ぼさず、産肉性(品質面)に大きく影響します。
日本種豚登録協会の産肉成績の直接検定項目には、1日平均増体重(DG)・飼料要求率(FC)・背脂肪厚(BF)・ロース断面積(EM)の測定項目があります。デュロック種にはこれらの能力が求められます。肉豚に伝えたい父親(止め雄)の形質として、発育性(DG.FC)と産肉性(BF.EM)が重要視されています。
また、近年この他に肉質についても重要視されつつあります。
一般にサシとよばれる筋肉内脂肪(IMF)が最も多く入ると言われている品種がデュロックです。そしてこのIMF量を改良目標の中に入れて、品種改良を進めるところも出てきています。
では、これらの能力の高いデュロックとはどんな豚でしょうか?
1.強健性
胸が広く、肢蹄ががっちりして、体がゆったりとゆとりのある豚は、餌の食い負けがなく、疾病に脅かされずに本来持っている発育能力を十分に発揮できます。
多頭飼育が常識となっている近代養豚では、この強健性がなにより重要なのです。そして、この強健性は、産肉能力にも影響します。筋肉構成を大きく左右する子豚期の発育停滞は、直接産肉性に影響してしまいます。
また、肉質面においても、一度胸膜性肺炎などの疾病に冒されると回復しても肉質の低下はまぬがれません。本来父親(止め雄)がもっている能力を子供(肉豚)に伝えるためには、まずこの強健性を伝えなければならないのです。
2.骨
豚の役割はもちろん肉を作ることです。そしてその肉を支えているのが骨なのです。
肩甲骨が良く開き、肋骨が良く張り出している豚はそこに乗るロース肉が太くなり、バラ肉もしっかりします。管囲や尾の太さは、骨量(骨の太さ)を表しています。
骨量が多いと言うことは、成豚の大きさと関係があり、一般に大型種(L・Dなど)は骨が太く、中型種(Y・Bなど)は骨が細いようです。また、肉質と骨の太さも相関関係があるようです。
3.顔・皮膚皮毛
活力は顔に現れます。目に輝きがあり、がっちりと顎が張り、しっかりと泡を噛んでいる雄は、自分の子孫を残そうという繁殖能力に優れます。特に顎の張りは餌の食い込み能力に影響し重要なポイントです。
皮膚・皮毛は健康のバロメーターであると共に、肉質を推測しうる重要な窓口です。
サイボクの種豚
サイボクのデュロックは、「美味しい肉豚のために」を第一に考え、強健性と肉質に重きを置いた育種をしてきました。
そして、この強健性と肉質に重要なのは、骨(骨格)であると考え、生体と肉質の関係を調査し、現在の系統維持にいたっています。現在の系統の特徴は大きく見て、2点あります。
1.太いロース芯…40平方cm台後半から50平方cm台のロース芯があります。(現場直接検定より)
2.サシ…ロース芯のIMF値で平均4~6%程度(最大13%)あります。(自社調査結果)
※ゴールデンポーク®は、(株)埼玉種畜牧場サイボクの登録商標です。